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「ラペ」と呼ばれた日本人 ある残留兵の戦後 『世界』2005年9月号

そんなラペとの結婚生活は、ギィアンにとって必ずしも幸せといえたかはわからない。しかしそれでも、彼女は偶然から人生をともにすることになった彼を愛していた。いや、愛することに決めただけなのかもしれないが、五人の子どもを授かり、ラペが死ぬまで一緒に過ごしてきたことはたしかだった。/ポーパが思い出せる祖父の姿は、そのような当たり前の一人の人間としての姿でしかない。祖父の過去について、それまで断片的には聞いたことはあったものの、ギィアンの言葉を通訳しながら、ポーパ自身が、驚き、笑い、聴き入っていることが何度もあった。/そんなポーパの様子を見ながら、ラペは日本兵である前に、一人の祖父であり、父であり、夫であったのだという当たり前のことを私は感じていた。
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