読売新聞月曜夕刊 本よみうり堂 の「ひらづみ!」欄の書評コラム、担当2回目は、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の『実力も運のうち 能力主義は正義か?』を取り上げました。自分は比較的、タイトルのように考えてきた方だと思うけれども、世の中が不平等であるということについてもやもやした気持ちを持ちつつも、「能力主義」についてここまで突き詰めて考えることもなく、いままで来ました。そんな自分をとても動揺させ、ずっと考えさせ続けてくれる一冊でした。この記事で興味を持ってもらえたら、是非読んでみてください。
『吃音 伝えられないもどかしさ』文庫版が発売になります。
『吃音 伝えられないもどかしさ』の刊行から早いもので2年以上が経ち、この度、装いを新たにして新潮文庫の一冊となりました。重松清さんに、身に余る、自分にとっては宝物のような解説をいただき、また文庫版あとがきを書き加え、全体を見直して表現や情報を若干修正しています。
さらに広く多くの人に届いてほしいです。4月26日発売です。
どうぞよろしくお願いします。
吉田亮人さん『しゃにむに写真家』(亜紀書房)を読みました。
吉田亮人さんの『しゃにむに写真家』(亜紀書房)読了。
順調に小学校の先生として働いてるときに、奥さんに突然、そのままの人生でいいの?と問われた(!)のを機に写真家として歩み出し、世界的に評価されるまでになる10年の道のりを書いた半自伝的エッセイ。
吉田さんは自分にとって最も身近な写真家で、友人、仕事仲間として、まさにこの10年を一緒に過ごしてきた存在。僕もさまざまに影響を受けてきました。そうして吉田さんをよく知る立場から見て、上記の驚きの転身劇同様、内容も文章も、彼の素直な人柄が全体から滲み出る一冊だった。整ったとても気持ちのいい文章。
読んでると前半は、奥さんにお尻を叩かれながら淡々とやってるうちに知らぬ間に成長してた、という感じもするものの、最後の第3部、この本の最大のテーマでもある従弟とおばあちゃんの話に入ると、吉田さんが写真家として深く思考し、対象と肉薄しながら写真を撮り、なるべくして写真家になっていったことがよく感じられる。第3部が特に素晴らしいです。
思い切って一歩踏み出そうかどうしようかと悩んでる人にきっと、よし、やってみよう!と思わせる内容。僕も力をもらいました!
僕も少し登場します。一方、吉田さんは拙著『まだ見ぬあの地へ』に登場します。
中央公論11月号「新刊この一冊」『「役に立たない」科学が役に立つ』
10月10日発売の中央公論11月号に、『「役に立たない」科学が役に立つ』(東京大学出版会)の書評を書きました。プリンストン高等研究所初代所長と現所長によるエッセイ集で、自由に研究することの重要性を説く一冊です。
書評記事がYahooニュースに掲載されていました(11月2日追記)
「有用性」や「有益さ」に捉われず自由に研究することがいかに大切かを訴える初代所長エイブラハム・フレクスナーの80年以上前の言葉は心を打ちます。
とりわけ心に残ったのは、結果的に大きな成果をあげられるから自由に研究するのが重要だ、というのではなく、<精神と知性の自由のもとで行われた研究活動は、音楽や芸術と同様に、人間の魂を解放し満足をもたらすという点だけで、十分に正当化されるべきなのだ>のように書かれている点です。フレクスナーの、学問への深い敬意が滲み出ています。
奇しくも日本学術会議の会員任命拒否問題によって、学問の自由にも危機を感じざるを得なくなってしまいつつありますが、だからこそ、いま広く読まれたい本です。