飯山博己さんの死から12年。飯山さんの事例<国・札幌東労基署長(カレスサッポロ)事件>が『労働法』(弘文堂)に。

今日7月26日は、看護師だった飯山博己さんが、吃音による困難を原因に自死されて12年となる日でした。享年34。その経緯は拙著『吃音 伝えられないもどかしさ』に詳しく書きました。当初は労災が認められなかったものの、不当なその決定に対して、ご家族が諦めずに訴えを続けたことによって7年後に労災が認定されました。

最近、その飯山さんの事例が、労働法の代表的な教科書とされる『労働法』(弘文堂)に掲載されていることを親しい弁護士から聞いて知りました。調べると、この本以外にも、<国・札幌東労基署長(カレスサッポロ)事件>として各所で引用・紹介される事例となっていました。

無念だっただろう飯山さんの死の経緯が、こうして広く法律家などに参照される形で伝えられていくとすれば、つらく悲しい出来事であることは変わらないながらも、せめて、よかったと感じます。飯山さんのご両親とお姉さんが大変なご苦労をされて訴訟を続けてこられ、かつ担当の弁護士の方たちが真摯にこの問題に取り組んでくださったゆえのことです。

自分も、取材をしてきた身として、同じ吃音当事者として、飯山さんのことがこれからも引き続き多くの人の心に残ってほしいです。飯山さんの死と労災認定の経緯については、2021年に、「Web 考える人」に書きました。節目の日に改めて、読んでくださる方がいれば嬉しいです。

100万人が苦しむ吃音 新人看護師を自死に追いつめた困難とは