少し間が空いてしまいましたが、8月に鈴木エイトさんの『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書)について読売夕刊「ひらづみ!」に書きました。統一教会問題を20年以上ひとり追ってきた著者の凄みが滲む一冊。それがいかに大変なことか、自分も書く立場として想像できる部分があり、感服です。鈴木エイトさんが長年の取材・報道に対しては複数の賞を受けているのもとても納得です。
『デオナール アジア最大最古のごみ山』(ソーミャ・ロイ著、山田美明訳、柏書房)の書評を「週刊現代」に
10/16発売の「週刊現代」に『デオナール アジア最大最古のごみ山』(ソーミャ・ロイ著、山田美明訳、柏書房)の書評を書きました。
いまこの瞬間もこのような驚くべき環境で生きる人たちがいることを生々しく突きつけられました。そして彼らが置かれた状況は決してどこか遠い世界の出来事なのではなく、いまの自分の生活とも繋がっているということを思わざるを得なかった。
『責任 ラバウルの将軍 今村均』で知った、オーシャン島での日本軍による驚愕の島民200人殺害事件。
長らく積読だった『責任 ラバウルの将軍 今村均』を、先日思い出して読み出したら想像以上に面白い。その中に、自分は全く初耳の驚愕の事件についての記述があって驚かされました。太平洋のオーシャン島(現キリバスのバナバ島)で終戦直後に起きた日本軍による島民200人の殺害事件。
本書では、殺害を行った元日本兵が率直にその背景を語っています。
この島を日本が占領した時、島民2500人のうち屈強な男性200人だけを残してあとは他の島に移住させた。その200人には武器を与えて訓練し、良好な関係を結んできたのに、1945年8月、終戦の4,5日後に全員を銃殺したのだと。理由は、占領当時に島にいた宣教師など数人の白人を処刑したことが発覚するのを恐れたためというのです。
白人の処刑については200人の誰もが知っていたとのこと。だから、敗戦となって連合国軍が島にやって来た時にとても隠し通せないだろうから、全員殺してしまったのだと…。島民の殺害についてはその後ラバウルでの戦犯裁判で明らかになり、8人の日本兵が処刑されたけれど、白人殺害を隠すための集団殺害だったというのは裁判でも隠されたまま、資料にも一切残ってないようでした。
実際このオーシャン島の島民殺害事件についてはその後も全然知られていないのではないかと思って、調べたら、1年前の東京新聞にこんな記事がありました。
最後の指揮官命令は島民の虐殺だった…元日本兵が書き残した敗戦直後のオーシャン島で起きたこと
いまなお、やはり全然知られてない事件なのだなと改めて驚かされました。
角田房子著『責任 ラバウルの将軍 今村均』は1985年ごろに刊行されていて、当時、関係者の多くが存命で、こういう話を当事者に取材で直接聞いています。この島民殺害事件を語った元日本兵も当時まだ60代。生々しさがすごいです。また、今村均の人格者ぶりもとてもリアルに描かれてて説得力があります。ラバウルの戦犯裁判のいい加減さ、無実の罪で処刑された日本兵がかなりの数いたのだろうことも伝わってきます。
もっと広く知られるべき内容が多々あり(自分が知らないだけかもですが)、本としてもすごく面白いです。
読売夕刊「ひらづみ!」23年7月3日掲載『「戦前」の正体』(辻田真佐憲著、講談社現代新書)
今日3日の読売夕刊「ひらづみ!」欄に、この本、辻田真佐憲さんの『「戦前」の正体』の書評を書きました。明治維新後、近代化を進める理屈づけのために都合よく神話が使用・解釈され、その結果、日本全体が絡め取られていく過程に驚かされました。すでにかなり読まれている本ですが、ますます広く読まれてほしいと思いました。
本書を読んだ流れで、未読だった半藤一利『日本のいちばん長い日』をいま読んでいるのですが(こちらも超面白い)、神武天皇の物語がこのように45年8月15日へとつながるのかと思うと、実に考えさせられます。