気持ちに素直に、進みたい進路を。旅と生き方の講義のレポートを読んで。

旅と生き方の講義のレポート、200人弱の分を読んでいます。多くの学生が次のように書いているのが印象的でした。

<なんとなく日々を過ごし、時期が来たらとりあえず就活する。それでいいのかなと若干疑問に思いつつも、大学時代とはそんなものだと考えていた。でもそうじゃなくていいことに気づかされた。一年遅れるしなあと迷っていた留学に行くことに決めました。夏は旅に行ってみることにしました。やろうと思っていたことに思い切って挑戦してみることに決めました>

と。今の学生は内向きで従順で、などと思いがちだったけれど、きっかけがないだけなのではないかと思います。やりたいことをみなが必ず追求すべきだとは思わないけれど、システマティックに進んでいく学生時代を少しでも疑問に思うのであれば、やりたいことをやっていいんだと、背中を押してあげたいとすごく思います。

お金のことなど現実的な問題は別として、一年遅れたらヤバイとか、履歴書に空白時期があってはいけないとか、人生的には本当にどうでもいい、ただ企業の採用的にだけ意味をなすローカルな価値観を、社会が意識させすぎではないかと思います。

1年や2年遅れようが、振り返れば人生に影響はほとんどないし、遅れないようにとわけもわからず就活をするよりも、疑問があれば、立ち止まって自分がどう生きたいかをじっくり考える期間を持つ方がよっぽど大切だと感じます。その上で、本人が納得した上で就活をするならする、別の道を進むなら進む、という選択を後押ししたい。

僕の講義は、人生の長い道のりを考えたとき、若い時代の旅は少なからぬ意味をもちうること、同時に、生き方はそれぞれ違って当然だということを、15回かけて様々な角度から伝えるのが目的なのですが、毎回の講義に対しての学生の感想やレポートを読むほどに、思い切って自分の道を進んでいっていいんだということをこれまで全く言われたことがないらしい学生が多いことに気づかされました。

もちろん、やりたい道に進んだ結果、思う通りに行かず苦労する可能性は大いにあります。頑張れば夢は叶うとは僕は思っていません。ただ、こう生きたいと思って自分なりに方法を模索して、考え、動いていけば、思い通りには行かずとも、きっとそれまで見えてなかった広い世界が目の前に見えてくる、そしてそれなりに道は開けていくはずであると思っています。

だからみな、気持ちに素直に、進みたい進路を選んでほしいと思います。そこで思い切り動いて悩んで、人生を模索してほしいなと。その際に旅は、きっと大きなヒントを与えうるものであるはずです。応援しています。

Yahoo!ニュース|本屋大賞「2019年 ノンフィクション本大賞」にノミネートされました

先ほど、 Yahoo!ニュースと本屋大賞による「2019年 ノンフィクション本大賞」のノミネート作品の発表があり、拙著『吃音 伝えられないもどかしさ』も、その6作品の中に入りました。投票していただいた書店員の皆さま、ありがとうございました。
https://news.yahoo.co.jp/promo/nonfiction/#section-nominee

これを機に、拙著もさらに多くの人に届いてほしいと願うと同時に、ノミネート作品のみならず、ノンフィクションという分野全体が盛り上がる一つのきっかけになってほしいなと思います(この賞の創設の目的がまさにその点なのですが)。

次に自分がどのようなテーマに取り組むべきかずっと考えてきましたが、ようやく、ぼんやりとながら、これを書きたい!と思うテーマがここ数日の間に見えてきました。今ぼんやりと頭に思い浮かべているテーマを、なんとか数年のうちに、実際に手に取れる本の形にしていきたいです。

『吃音』は、一昨日5刷が決まりました。想像以上に多くの方に、想像していた以上に多様な形で「伝えられないもどかしさ」を受け止めていただいていることが感じられて嬉しいです。読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。

講談社 本田靖春ノンフィクション賞、残念ながら受賞ならずでした

今日は午後、東京での取材を終えて、夕方、講談社 本田靖春ノンフィクション賞の結果を待つため新潮社へ。担当編集者と編集長とともに新潮社クラブで緊張の1時間を過ごした後に連絡があり、はっと息を止めた数秒後には、受賞には至らなかったことを知りました。

思ってた以上にずっしりとショックを受けましたが、その後、残念会的に美味しいジンギスカンを3人で食べに行っているうちに気持ちがだいぶ切り替わりました。

そして松本創さんの『軌道』が受賞したこと、自分の残念さとは別に、改めてよかった!と思いました。松本さんが10年以上の期間をかけた素晴らしい作品です。是非これを機にさらに広く読まれますよう。

応援してくださった皆さま、どうもありがとうございました!