「偶然」に身をゆだねる

「旅と生き方」に関する講義を、かれこれ13,4年、大学でやっています。

毎回テーマがあり、それに沿って映画やドキュメンタリー映像などを数十分見てもらい、それに自分の経験などを重ねて話すことで授業を構成しています。
(授業の概要についてはこちらに詳しく書いてます)

学生から<死とかが関わる話が多くて、毎回テーマが重い、、>という声があったこともあり(笑)、先週、少し趣向を変えて、「旅と出会い」というテーマにして、自分の過去の話(28年前(!)の妻との出会いの話)をして、「ビフォアサンライズ」の最初の30分くらいを見てもらいました。「偶然」がいかに人生において大きな意味を持つか、ということを伝えたく(自分たちの話を、ビフォアサンライズのジェシーとセリーヌに重ねるのは恐縮すぎるのではありますが笑)

150人前後くらいの受講者に、毎回感想を書いてもらっているのですが(その中の3,4つくらいを次回に共有)、「ビフォアサンライズ」について、<たまたま電車で出会って一緒に降りて旅をするとか、そんなことあるのかと驚いた>などといった感想がとても多くて新鮮でした。

学生たちの反応を見て、「偶然」が人生の中で果たす役割がかつてに比べてぐっと小さくなっているのだろうなあと実感。店を選ぶのでも、電車に乗るのでも、あらゆることを事前に予測したうえで行動するのが当然となっているいまの時代には、なるほど、それはそうだよなあとも思います。

だからこそ「ビフォアサンライズ」や僕の過去の話を、思っていた以上にみなが驚き、楽しみ、偶然の持つ意味を考えてくれたように思いました。学生たちにこのテーマの話をしてよかったです。

予測することができない人生の余白部分、そしてそこに入り込む偶然に身をゆだねることによって、人生は豊かに広がっていくのだろうなと改めて感じました。

ちなみに、授業をするにあたって「ビフォアサンライズ」と「ビフォアサンセット」を久々に見直して、このシリーズのすばらしさに再度打たれました。本当に名作。見てない方はぜひ!